コンテンツ化された苦悩

憎み憎まれて生きるのさ

23歳ニートの人生がダメになっていくドキュメンタリーです

ニートになって一年が過ぎた話

将来に向かって歩くことは、ぼくにはできません。将来にむかってつまずくこと、これはできます。いちばんうまくできるのは、倒れたままでいることです。  

カフカ

 去年の梅雨にはいる前くらいに仕事を辞めて、それから一年が過ぎた。

 「貧乏はするもんじゃねえ。味わうもんだ。」というパンチラインを残したのは古今亭志ん生ですけど、俺に言わせれば「ニートはするもんじゃねえ。味わうもんだ」といった感じである。一年間は短いようで長い。その間に俺は、大学の時から付き合っていた彼女に別れを告げられたり、tinderで知り合った知らない女の子と寝てみたり、筋トレを始めてみたり、セブンイレブンの全体に味がついてる系のおにぎり(チャーハンが好き)ばかり食べて生活したり、録画してたワールドトリガーのアニメをなんとなく全話(初回以外。録画し損ねた)見返したり、大学の友達にお酒を奢ってもらったり、赤ピクミンを意味もなく増やしてみたり、8キロ痩せたり、高校の時に同じクラスだった人をエロい映画に誘ってしまって観終わってから疎遠になったり、創元社エントリーシート送って落ちたり、筋トレを辞めてみたり、ニート1周年パーティーを企画してみたけど参加希望の連絡が全然来なかったり、清涼院流水の小説を死にそうになりながら読んだり、家の中でメガネを失くしたり、元彼女が付き合ってた時にプレゼントでくれたラコステのポロシャツの背中の腰のところがリュックサックで擦れてゴワゴワになったりした。

 神に問う。無抵抗は罪なりや?

 『人間失格太宰治

  資本主義社会から脱落した。たまに会うちゃんと仕事続けている友達がすごく偉く見える。見えるというか偉い。立派だ。自分がどんどん社会から取り残されているような気分になる。一年か。会社は3ヶ月も続かなかったのにニートは余裕で続けられた。前陣速攻型のプレイヤーは3日休むと戻すのに1週間かかる。よく言われている「新卒は最低3年辞めるな」ルールを大幅に破ってしまった。その12分の1ですよ。12分の1で合ってる?脳みそあんま使わないせいで計算能力が退化してるので数が数えられません。3ヶ月働いて1年休むってどういうバランス感覚。遠洋漁業の人か俺は。ただ、ひとつ言っておきたいのは、転んだのは一瞬でも怪我が治るのには数日かかるみたいなそういうことってあるでしょう。あるんです。

「君はさっきから、働らかない働らかないと云って、大分僕を攻撃したが、僕は黙っていた。攻撃される通り僕は働らかない積りだから黙っていた」
「何故働かない」
「何故働かないって、そりゃ僕が悪いんじゃない。つまり世の中が悪いのだ。」

『それから』夏目漱石

  普通の人だったら辞めなかったんだろうか。俺は普通じゃないくらい使えない新卒だったんだろうか。辞める前に人事に「(OJTしてくれた先輩のいない)違う部署に移してやろうか?」と言われたときになんでそれを断って辞めてしまったんだろう。あと、会社のホームページ辞めたあともちょくちょく見に行ってしてしまうのはニートあるあるなんだろうか。どうやらいまは新卒採用をしていないらしい。おそらく俺のせい。なんでハローワーク行っても職員の方がタメ口使ってくるのが怖くてなんとなく行かなくなったりしてしまうんだろう。心が弱い。働いていたときのこと思い出すと今でも憂鬱な気持ちになる。何だ?このユーウツは!今まさに仕事や日々の生活でしんどい思いをして平坦な戦場をサヴァイヴしている方々。ほんとうのほんとうに心の底から尊敬する。like a プフのオーラ見て戦意消失したノヴみたいな気持ち。なんであんな恐ろしいものに立ち向かっていく勇気があるんだ。会社にいて3ヶ月で心へし折られて立ち向かう気概を完全に失くした俺からしたらゴンとかキルア並みにすごいと思う。不二家のLOOKをささげたい。おいしいから。

 

 産まれた時からか、あるいは小学生のときすっころんで後頭部何針か縫ったときからか、大学生の時に急性アルコール中毒で入院したときからか脳みその調子が悪い。未来のことをあまり考えたくない。親が心配してくる。姉がばりばり働いていて家のトイレでゲロ吐いたり、たまにスターバックスでマンゴーパッションティーフラペチーノを奢ってくれる。おばあちゃんも心配している。家族の中で働いていないの俺だけだから。「ニートやれる家は実家が太い」なんて言うけど、そんなことはないと思う。もうすぐ親が定年で仕事を辞める。朝、みんな忙しいので俺が洗濯物を干す。ZORNというラッパーが曲の中で「洗濯物干すのもHIPHOP」と言っていてその一節に心が救われている。洗濯物を干しながらニュース見てると大学で同い年だったミスコンの人がアナウンサーとして頑張っている。サークルの関係でミスコン候補者と関わる機会があって話したことがあるので「将来、アナウンサーになりたい」と言っていたその人が本当にアナウンサーになっていて感動的。かたや俺はそれを洗濯物を干しながらテレビで見るくらいしか出来んのだ。ラーメンズの「無用途人間」というコントを思い出す。もしかして俺は洗濯物干す用人間だったのか。普通に就職する用人間にはなれなかったよ。家族以外の人とほとんど喋らないせいか対人コミュニケーション能力がますます衰える。脳に悪い。お酒をほとんど飲まなくなる。チャーハン作るのだけがどんどん上手くなっていく。元彼女の飼っていた猫に会いたくなる。LINEでフラれたので猫にお別れのあいさつができなかったのが悲しい。

お前は今腐りかけている
自分でそれがわかるだろう
お前が見たものはみんな
お前を失くすためにある
お前が触ったものはみんな
お前を忘れるためにある

 「華麗なる絶望」三上寛

 久しぶりにとりとめもなく文章を書くと、悪いことに引っ張られて行ってしまう。そんな深刻に落ち込んではいない。精神的にはなんとなくだめだけどバイオリズム的にはノホホンと暮らしている。もうニートニートニート!っていう勢いでだらだらしている。(camera!camera!camera!的な)小学校、中学校、高校、大学と学生生活を送っているとき、「毎日なんでこんなに忙しいんだろう」と不思議だった。授業とかつまらないくせに無駄にたくさんあったし…。毎日行かないといけなかったし。友達がいなければとても行けたもんじゃないな。友達いなかったら不登校になっててもおかしくなかった。社会不適合の気のある自分が大学生までストレートにしゃーって進むことができたのはこの地球上における数少ない奇跡のような気がする。それに引き換えニートってマジで何もしなくていいからね。人生で初めてこんな暇な生活を味わっている。大学の春休みが一年ノンストップで続いてるような時間の持て余し方。うらやましいだろう。毎朝パルム食ってる。普通の人が満員電車で揺られている時間にパルムを食べたことがある?これが格別なんです。

 唯一の難点というのはこれから先の人生をどうしていけばいいのかまったく当てがないということで。こればっかりはあんまり考えていなくて、頭が痛い。日本の新卒一括採用のシステムが生み出してしまった悲しきモンスターが俺。ハロワ行きたくない。

 こういう何のストレスのない日々は心のどこかを確実に鈍らせてる。このnew shit(文章の意)をひねり出すのも一苦労という塩梅だ。というか起きている時間が短いから多くのひとに比べて明らかに「人生を生きている」時間が短い。低血圧気味なので朝起きてから夕方4時くらいまでボンヤリして寝てるんだか、起きてるんだかって状態。さながらバロウズが一日中ヘロインやっていたときくらいのボンヤリさ加減。

 このブログも読んでる人あまりいない。いや更新ほとんどしてないから読まれないのは当たり前だけど。更新してもせいぜい数十人が読んで終わりなので、なんだろう。「親に渡さず捨てられるのが確実な学級通信を書かされる教師」のような心情ですよ。このブログを支えてるものといったら俺のとめどない社会への不満と人間関係の断絶からくる承認欲求の暴走なので、そういう初期衝動が少なくなってきているのか。2ndアルバムで小綺麗にまとまってしまう一発屋バンドみたいになってやしないか。そもそも前に書いていた文章も恥ずかしくて読み返すたびにスターバックスのパッションティーみたいに赤くなってしまうのだけど。

 この記事はブログのネタになるかなーと思って「ニート1周年パーティー」やろうと企画したのに結局、全然参加希望来なくて恥ずかしかった事がきっかけで書かれています。本当に恥ずかしい。キミはどうするつもりだ?このまま僕を見殺しにするのか?キミが感じるままに動けばいいと思う。ただ、誰から頼まれたわけでもないのに、命懸けでパーティーを企画する23歳のニートをキミは無視できるのか?僕だったら無理だ。

 奇しくも今日はプレミアムフライデー。このnew shit(文章の意)を泣きっ面で書き連ねているスターバックスで今、20時になったところ。1人で名画座に行こうと思ったけど最寄りの名画座が改装中でやっていなかったので、近所のコンビニでストロングゼロを買って飲みながら歩いて帰ろうと思う。昼間は死ぬほど暑かったけど暗くなると少し涼しくなって心地よい甘やかな夜。いいよ。どこまでも突っ走ってやる。それが俺にとってのニート1周年のお祝いだから。とにかくパーティを続けよう。これからもずっとずっとその先も このメンツ このやり方 この曲でロックし続けるのさ。

 

あなたが歩くことのできるのがおどろきだ
あなたがごはんを食べているのが
歯をみがくのが私にとっておどろきだ
あなたのふたつの眼から
涙のにじみ出てとまらないのがおどろきだ
あなたは海をみつめて放心している
その顔にかくされた美しさがおどろきだ
そしてもしもあなたが死ねるとしたら・・・・・・
死ねるとしても―
そのことの中に私は
あなたのいのちの輝きを見るだろう
私たちの生きる証しを見るだろう

「やわらかいいのち」谷川俊太郎

 

 

絶望名人カフカの人生論 (新潮文庫)

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