コンテンツ化された苦悩

憎み憎まれて生きるのさ

23歳ニートの人生がダメになっていくドキュメンタリーです

ニートがtinderで会った女の子に『好き好き大好き超愛してる』を借りパクされた話

傷ついてもかまわない
主導権を握りたい
完璧な肉体が欲しい
完璧な魂が欲しい

君に気がついてほしい
ぼくがそばにいないことを
君はあまりにも特別で
ぼくもそうだったらよかったのに

だけど、ぼくはクズだ
どうしようもないクズ
ぼくは一体何をしてるんだろう
ここはぼくの居場所じゃない

君を幸せにできるなら何だっていい         君が望むことなら何だって
君はあまりにも特別だから
ぼくもそうだったらよかったのに

「Creep」  Radio Head

 

 親が読んだら泣く記事を書きます。

 仕事辞めて彼女にフラれて人と会わなくなって生活圏にいる女性が母親だけになってしまった。彼女にフラれた理由は前にぐちぐちと書いたんですけど、雑に説明すると仕事辞めてやけっぱちになった俺が「セックスさせろ」ってしつこく言ったせいで、同じく仕事で落ち込んでた彼女がブチ切れて一切の連絡を断たれた。以上。こうまとめてしまうとお前ニートのくせに性獣だな、死ねと思われるかもしれないけど、そもそも大学時代の時から頻度が「午後のロードショー」で例えると「ランボー」シリーズが放送されるくらいの頻度(およそ3ヶ月に1回)だったので、いちいち数えるもんじゃないけど3年間合わせて累計十数回もしてないと思う。そこらへんの爛れた発情大学生と一緒にしないでほしい。しょうがなく俺は表面上紳士的な振る舞いを心がけていたが、健全な男子大学生としてはせめて「トレマーズ」シリーズかセガール沈黙シリーズくらい放送して欲しかった。最も暇でエネルギー有り余ってる大学生カップルが1人暮らしの家で遊ぶのに「トレマーズ」しないで一体何やってたんだよって思うじゃないですか。2人並んで「魔法少女まどかマギカ」や「子猫のチー」やニコニコ生放送を見たりしてました。「子猫のチー」はそこそこハマって自分でも録画するようになったけど、ニコニコ生放送がまた死ぬほどつまんなくて、わざわざ2時間かけて彼女の家来たのに何が面白くて人生詰んだニートどもの雑談聞かないといけないんだよって思ってたけど、まさか大学卒業してから自分がニートになってこんなゴミみたいなブログを書くとは思わなんだ。まあそんな感じだったので、彼女の家に行っても「トレマーズ」できないため俺のグラボイズは常に我慢を強いられてきた…。それと同時に彼女は彼女で本当に性欲がないみたいだったので「ランボー」も嫌々ながらというより出来ればやりたくなかっただろうけど俺がうるさいので我慢をしてきたんだと思う。そういった今までのお互いの不満が極限状況で爆発した結果の破局だった。付き合う前の、俺が彼女に一目惚れして純情片想いしてた時に「彼女に指一本触れないとしても付き合えるか?」って聞かれたら余裕でOKしたはずなのに、なんでいつの間にかこういう風な終わりを迎えてしまったんだろう。世の中には遠距離恋愛でも問題なく続いてるカップルは大勢いるはずなのに、不思議だ。

本当に好きだったらそういうことばっかしなくても平気でしょ

もしかしてあなたはそういうこと目当てにわたしと付き合ってるの?」

みたいなことを喧嘩のたびに言われた。そう言われるとこっちもそれ以上のことを求める気が失せた。別れた今となっては向こうからしてみれば俺は体目当てに付き合ってたのと一緒だもんなあ。俺が「トレマーズ」を諦めれば2人はもっと続いていたのか。眠れない日々がまた来るのなら…弾ける心のブルース。1人ずっと考えてしまう。

 

 3年間も一緒にいたのだから、忘れられない特別な思い出はたくさんある。卒業旅行は彼女が行きたがっていた「猫の島」に2人で行った。「猫の島」は愛媛県にある小さな島で、のら猫が百匹以上生息してるこの世の楽園のような場所だ。飛行機に乗って2人仲良く愛媛県に行った。松山城にも行った。鯛めしも食べた。「猫の島」は朝早くにフェリーに乗らないと行けなかったので4時におきて始発で予讃線に乗った。朝の松山は嘘のように寒かった。2人以外誰も乗ってない電車は夜明けを待たず動き出した。空がだんだんと明けていくのを2人で車窓から眺めた。「これから猫の島に行くんだね」と言いあって。電車は海の近くの林をゆっくりと走った。自分の住んでいる場所から遠く離れた朝の予讃線は現実じゃないようなシュールな感じがした。「つげ義春の漫画みたいだな」と俺は思った。車内は暖房が効いてなくて寒かったので2人で手を繋いだ。暇だったのでイヤホンを半分ずつにして彼女のiPhoneで音楽を聴いた。右耳だけつけたイヤホンからはっぴいえんどの「12月の雨の日」が流れた。夜明けに、はっぴいえんどを聴きながら女の子と手を繋いで海の近くの林を走る電車に乗っていた。なぜかは分からないが今までの人生で1番の多幸感に包まれた。「新海誠のアニメみたいだな」と俺は思った。その時その瞬間は何もかもが輝いていて俺は間違いなく幸せだったはずなのに。

 

 彼女から最後のLINEが来てから1週間後に「いつもごめん、今までありがとう」と送った。既読はつかなかった。多分本当にブロックしたのだろう。俺はなんとなく悲しかったのでブロックはしなかった。彼女と別れた後はささくれを剥く癖を止めてくれる人がいなくなってしまい、両手の親指がズタボロになった。録画した「子猫のチー」を何度も繰り返し見るようになった。YouTubeなかやまきんに君の動画を見てる時以外一切笑わなくなった。彼女の好きだった神聖かまってちゃんを聞かなくなった。ニコニコ生放送がさらに嫌いになった。ただでさえ出不精なのにもっと引きこもりがちになった。食欲がなくなって少しずつ痩せていった。貸したっきり帰ってこなかった「子供は分かってあげない」をBOOKOFFで買い直した。

 

 俺はもう女の子のことを好きになるのやめようと思った。別れるたびにこんな死ぬほど落ち込んでたらいつか死んでしまう。彼女に「性欲だけのかわいそうな人」と言われたのでいっそ本当にそうなってやろうと思った。俺に性欲がある限り女の子とうまく付き合えないのだったら、本能のままに生きてぺろっとわんこそばを食べるように女の子を抱くゲスい人間になろうと決めた。もう恋愛なんて不安定なものに心乱されたりしないと固く決意した。たしかなものは欲望だけさ。100パーセントの確率なのさ。

 

 女の子を抱くために早速tinderを始めた。大学と顔写真を登録してマッチングするアプリだ。男女お互いがLIKEするとメッセージのやり取りができるようになる。これで女の子と出会ってやりたい放題やってやる。マッチするために女の子の写真をひたすらスワイプスワイプスワイプスワイプスワイプスワイプスワイプスワイプスワイプスワイプスワイプスワイプスワイプスワイプスワイプスワイプスワイプスワイプスワイプ…あれ、おかしい。指が腱鞘炎になるほどスワイプしてるのに全然マッチしない。俺の顔は全然女の子にLIKEされてないんだなと思うと虚しい気持ちになった。せっかく盛れてる写真をプロフィールに設定したのに。だが、「下手な鉄砲数撃ちゃ当たる」と思い寝る間も惜しんで片っ端からLIKEしていたら数件マッチできた。その喜びもつかの間の幻で、マッチした人にメッセージ送っても全然返事が返ってこない。現実でも電脳世界でも驚くほどモテなかった。映画と漫画しか趣味がないインドア人間だから?サンボマスター銀杏BOYZ筋肉少女帯を聴いてるから?人の目を見て喋れない根暗だから?仕事を2ヶ月半で辞めたニートだから?画面越しに負のオーラが伝わっているのかもしれない。心が折れてもうアンインストールしようかなと思ったときに1人の女の子と話がつき実際に飲みに行くことになった。

 

会うことになったのは都内に住む女子大生で、大森靖子が好きらしいのでここでは大森さんとする。

 

 渋谷で待ち合わせをして飲みにいった。その日は雨が降っていて傘を忘れた俺はせっかくセットした頭が濡れて台無しになった。大森さんは全身黒い服でやってきてカラス族のようだった。顔のパーツの一つ一つがシンプルで日本人形みたいな顔をしていた。ボブカットに顔色が悪そうなメイクを施していてヴィレッジバンガードで石投げたら当たるようなサブカル風女子だった。居酒屋に入ってお酒を飲みながら色々な話をした。俺が仕事を辞めるまでの話、彼女にフラれるまでの話を聞いた大森さんは「そんなんでよく自殺しないねウケる」と言った。確かに、と俺は思った。大森さんはtinderで出会ったセフレに好かれて困っているという話を延々としてきた。そのセフレは大森さんと会った後にTwitterの裏垢でポエムをつぶやくらしい。セフレの裏垢をわざわざ探す大森さんもどうかと思う。大森さんは女性なのにtinderに課金をしているモノホンプレイヤーだった。初対面の人と会ってセフレの話するんかいと思ったけど、わりと真剣に聞きいってしまった。大森さんはtinder課金勢だけあって沢山のセフレがいるらしく、人間関係が複雑だったので話を聞きながら頭の中で整理するのが大変だった。「でも前に別れた元カレともたまに会うんだよね」と言い出してオイオイどんだけ男と遊んでるんだよこの人は、お手上げだよこの野郎と思った。自分はそんな人に話すほど女性経験がなかったのでただひたすらハイボールを飲んで大森さんの話すセフレ談義に耳を傾けた。騒がしい居酒屋だったので、声が異常に通らない俺は話しても話しても聞き返されるばかりで、自然と大森さんの話を聞く方にまわっていた。「初対面でこんだけセフレいるアピールしてくるならワンチャンあるな」と思ったが、居酒屋のお金を払ったら財布がスッカラカンになってしまったのでその日は解散することになった。会う前にお互いのお気に入りの本を交換する約束をしていたので俺は舞城王太郎の『好き好き大好き超愛してる』を貸した。大森さんは江國香織の『ウエハースの椅子』と三浦しをんの『天国旅行』を貸してくれた。

 

貸してくれた2冊はなかなか面白かった。後日、読んだ本の感想をLINEで送りつつ 「今度ホテルいかない?」と誘ってみた。まさかあの根暗で奥手な自分がこんな軽率な誘い方をするとは恐るべし性欲。「いいよ」と返事が来た。一応男として見られたのが嬉しかった。飲んでる時は散々ニートだ社会不適合者だって馬鹿にされたけど。ああ、これで俺も見ず知らずの女の子と寝る村上春樹の小説の主人公みたいになるんだな、と思った。理性を捨て本能に忠実に生きるアニマルになってしまった。1週間後に会う約束を取り付けた。ついに俺は「ランボー」から「トレマーズ」に生まれ変わったんだ…。そうして、ゆくゆくはセガールに。こうなったら堕ちるとこまで堕ちていって正真正銘のダメ人間になってやるんだ。

 

 

 

 

 

 

と思ったら約束の日の前日に「ごめん、やっぱ無理」と言われた。大森さん曰く「ちゃんとした人間になってもらいたい」という理由らしい。いまいち納得できるようなできないような。たしかに俺は人間としてちゃんとしていないかもしれないけれど、そんな理由でセックス断られる奴ってこの世にいるのか?てかちゃんとした人間って何なんだろう。哲学だ。年下のセフレいる女の子にちゃんとした人間になれなんて言われてしまってものすごく恥ずかしい。俺のピュアハートはボロボロと音をたてて崩れていった。大森さんの断りの連絡を境に会話が終わった。『好き好き大好き超愛してる』読み終わったら感想くださいって言ったのにあれから1ヶ月経ってもなんの音沙汰もない。多分今も大森さんはtinderで男の人を探しているのだろう。(tinderのプロフィールが頻繁に更新されてるので)彼女とあと一歩のところで関係に踏め込めなかったのは、俺がちゃんとした人間じゃないせいだったのか。どうすればちゃんとした人間になれるのか。大森さんとの出会いは僕の心の深いところに多くの疑問を投げかけた。いつか大森さんも俺の貸した『好き好き大好き超愛してる』を読んで愛の大切さに気づいてほしい、そう強く思った。あとできれば早く本を返してほしい 。マジで。

 

 

 

 

You need a hard to play this game
気持ちがレイムじゃモノホンプレイヤーになれねえ

 

 

トレマーズ (字幕版)

トレマーズ (字幕版)