コンテンツ化された苦悩

Boy neet Girl (そして人生は続く)

22歳ニートの人生がダメになっていくドキュメンタリーです

古谷実の『ヒメアノ~ル』はおもしろい

 

 

あらすじ

岡田進は清掃会社で働きながらも、漫然と過ぎていく時間に不安と孤独を募らせていた。そんな中、岡田は同じ清掃会社で働く、更に冴えない先輩の安藤勇次とひょんなことから仲良くなる。

安藤はコーヒーショップ店員の阿部ユカに恋をし、岡田は止めたが安藤の恋心は止まらず、岡田は安藤の恋の手助けをする中で皮肉なことにユカに告白され、付き合うことになってしまう。多少のトラブルはありつつも岡田たちの日常はぐだぐだと過ぎてゆく。

しかし岡田たちの恋愛劇の裏では凄惨な殺人劇が起きていた。岡田の元同級生で酷いいじめを受けていた森田正一は突発的で理不尽な殺人を行いながらユカに目をつけつけまわすようになり、徐々に岡田たちの日常を侵食し始める。

 

古谷実(と偉そうに呼び捨てにしてすいません)と言えば「稲中卓球部」が代表作だけど、絵が苦手でまだ読んだことない私は古谷実ファンを名乗っていいのか迷うところがある。

 俺が古谷実の作品を知ったのは高校生で、お盆に家族旅行で行った温泉旅館の漫画コーナーに「ヒミズ」が明らかにやばそうなオーラを放って置いてあって、なんとなく手に取って読んでみたらあまりの救いのなさに心底ブルーな気持ちになった。なにしろ最初に「ヒミズ」を読んだので暗い作品ばっか描いてるのかと調べてみたら元はギャグ漫画家だと知ってびっくりしてそれからちょっとずついろいろ読み始めたけど、「稲中」は絵が「ヒミズ」と違って荒くてなんか読む気がしないのでした。

 

 そういえば「ヒミズ」も最初の方ちょっとだけ笑える要素入ってたけど、いきなり物語がバーンと暗くなってその落差に頭をぶん殴られる感じがあって、「稲中」の次の連載である「僕といっしょ」はギャグ漫画だけど主人公兄弟の境遇は第一話から笑えないくらい悲惨で、この作家はギャグ漫画の中に日常に隣り合わせの不幸とか悲惨さを描こうとしているのだと思った。(グリーンヒルは不幸っていうか倦怠感とか将来の不安)

 

 「稲中」で一時代を築いただけあって、どの作品でも台詞の掛け合いのテンポの良さとセンスは一級品でずっと読んでいたいくらい面白い。特に登場人物同士が喧嘩してる時の掛け合いがいちいち笑える。台詞だけでこんなに読者をひきつける作家はなかなかいないと思う。

 「ヒミズ」以降の作品はそこまで暗くもないし明るくもないグレーゾーンな描き方でタイトルに挙げた「ヒメアノ~ル」は連続殺人鬼を描いてはいるけど、岡田や安藤のおかげで「ヒミズ」みたいに読み進めるのが辛くなってくるほど暗くはならなくてバランスがいい。

 「自分がダメ人間すぎてどうしよう」と毎日悩んでる人間は間違いなく古谷実の漫画にハマるはずだ。あとこの人の描く女性キャラは性格がかわいいんすよ、本当に。

 こんな女の子がいたらいいのにっていう妄想が具現化したみたいな女の子ばっかでそれがポンコツ根暗男子の心を撃ち抜く。「シガテラ」の南雲さんが特に好きです。

 

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